金子委員長メッセージ(2014/03)

2014年3月
日本機械学会 発電用設備規格委員会
委員長 金子 祥三

 この度森下前委員長の後を受けて,委員長に就任いたしました。就任に当り,本委員会の意義と役割をもう一度再認識し,より信頼度の高い,かつ多用される規格・基準を速やかに世に出していく重要性を感じております。

 本委員会の第一の特徴は“民間規格”であり“自主規格”ということであります。民間が自主的に制定するものであり,それ故に“必要十分”でかつ“みんなに信頼され,使われる規格・基準”でなければなりません。すなわち“その充実した内容”により信頼を勝ち得て,“自ずと権威を持つもの”であることが重要です。それではどうしたらこれが実現できるでしょうか。

 このことに関しては,米国機械学会ASMEの設定時のいきさつが参考となります。米国では南北戦争後の急速な産業の進展と時期を合わせて,ボイラの爆発事故が相次ぎ,数千人の死者を出す事態となり,製造者と使用者の有志が集って“使える規格・使える基準”を自主的に作ったのが出発点と言われています。自分たちが自分たちのために作るものであり,必要かつ十分,過度に厳しすぎず,しかし限界はしっかり押さえる。このようにして自ずとバランスのとれた規格が出来,それがみんなの信頼と信用を生み,名実ともに万人が認める規格・基準となったわけであります。

 また,技術の進歩は日進月歩であり,また技術を受け入れる社会情勢も時代と共に変わります。従って,“一度作ったら終わり”ということではなく,絶えず修正をし,最新のものにしていくことが重要です。

 第二に国際性と言うことが大きな指標となります。現在は日本のみの孤立した規格・基準というのはありえません。今や産業界は日本国内よりむしろ世界市場が主要な場となりつつあり,製品や設備にしても世界に認められ受け入れられるものでなければ成りません。当然,それらが準拠する規格・基準は国際的に見ても十分に説得力があり信頼を勝ち得るものでなければなりません。この意味でASMEとの交流や連携も非常に重要となってきます。

 現在発電用設備規格委員会は4つの専門委員会からなっています。すなわち,原子力専門委員会,火力専門委員会,材料専門委員会,核融合専門委員会です。この中でも,原子力専門委員会においては,福島第一原子力発電所事故後の世界同時競争とも言える安全性に関わる規制基準,民間基準の策定状況を踏まえ,歴史観に基づいた将来への見通しを持ちつつ,民間規格の自主性を活かしながら,迅速に行動することが肝要と考えております。ASMEを含め国内外の規格策定団体とも協調し,より安全で信頼性の高い原子力発電の実現を目指したいと考えております。

 本学会の活動は基本的にボランティアによる自主活動であり,マンパワーや財源など大きな制約の中での活動であります。ボランティアのラテン語の語源は“velle(自らの意思)”であります。委員の皆様や会員各位の“自らの意思”による諸活動によって,広く産・官・学からの御協力と御支援のもと,“民間の自主規格”であるが故に“公平で信頼される規格・基準”を迅速に世の中に出すことに努力したいと思います。御支援のほど宜しくお願い致します。

以 上