原子力安全の向上に向けた学協会活動の強化
2012年3月29日
原子力関連学協会規格類協議会
日本機械学会 発電用設備規格委員会 委員長 森下 正樹
日本原子力学会 標準委員会 委員長 宮野 廣
日本電気協会 原子力規格委員会 委員長 関村 直人
東京電力福島第一原子力発電所事故から1年が経過し,国では原子力基本法,原子炉等規制法の見直しがなされ,原子力安全規制の転換が図られつつあり,事業者でも多くの安全対策が実施されています。一方で,福島事故により原子力に対する国民の信頼が大きく損なわれる結果となり,原子力利用をめぐる国論は依然として混沌としており,原子力発電の運転再開もままならない状況となっております。
しかしながら,原子力利用については,原子力の持つ優れた特質を活かすため,真に科学的,技術的な分析に基づいた冷静な議論と判断が求められるところであり,その上に立って原子力事故の発生防止,拡大防止並びに影響緩和のためにあらゆる手段を講じなければならないと考えております。
原子力安全確保の仕組みの変革として,独立性の確保を柱とした国の安全規制の改革も姿を現しつつあり,最新知見,最新技術を早期に反映し安全性,信頼性を一層向上させることを目的に学協会規格の策定を担ってきた私ども3学協会としても,事故を未然に防止できなかったことなどの反省の上に立った新しい役割の自覚と,それに対応した活動強化が必要と認識しております。
1.積極的な学協会規格活用の意義の再確認
これまで,国の規制基準は性能規定化し,具体的な仕様規定は学協会規格活用という構図の運用の中で学協会は役割を果たしておりました。今回の事故を受けた仕組みの変革においても,この構図を堅持し,以下の観点から学協会規格の活用をより一層活性化すべきと考えます。
具体的な仕様規定としての技術規格を学協会が策定することにより,現場の状況等を適切に反映した真に必要とされる実効的な安全規制の体系の一翼を担うことができる。
学協会は,公平性,公正性,公開性を持って,専門家の委員のコンセンサスを得て学協会規格を策定しており,それぞれの分野における我が国の最高レベルの学術的知見・技術が結集する場として,これを安全向上に役立てることは我が国の共通の利益である。
学協会は,最新の知見を学協会規格にタイムリに反映しており,「最新の知見の反映」において中心的な役割を果たすことができる。同時に規制当局も学協会規格に規定された技術的事項を迅速に利用することにより,総合的な安全規制全体の高度化を進めることができる。
同時に福島事故を踏まえ,既存の指針類体系の再整理や新たな領域での規格基準整備の必要性が明らかとなったため,学協会はこれに積極的に取り組むべきと考え,次項に示す学協会規格策定活動の強化に取り組みつつあります。特に,福島の経験を踏まえたシビアアクシデント対応の学協会規格類を世界に先駆けて開発・発行し,国際的な原子力の安全向上に寄与することが求められていると認識しております。
2.学協会規格策定活動の強化
原子力関連学協会規格類協議会では,福島事故を踏まえた学協会規格策定活動の強化を強力に推進していくこととしており,既に連携して全交流電源喪失事故,シビアアクシデントなどこれまで学協会規格の取り組み範囲外としてきた領域に関して必要な学協会規格のロードマップ作りを開始し,また具体的な学協会規格(外部事象シビアアクシデント対策設備設計ガイドライン,シビアアクシデントマネジメント実施基準,等)の策定にも着手しました。
原子力関連学協会規格類協議会では,これまでの学協会規格策定活動と福島第一原子力発電所の事故に鑑み,原子力安全の更なる向上を目指し,今後以下の推進に取りくむ決意です。
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- 福島第一原子力発電所のようなシビアアクシデントを二度と起こさないように,原子力安全に関する学協会規格を最優先で制定・改定すること
- 経験・新技術・新知見といった規格基準の基盤も含めた体系化を目指すとともに,その結果を迅速に学協会規格に反映すること
- IAEA等の国際安全基準にも一層目を向け,これとの調和を図ること
- 3学協会はもとより,原子力の規格基準策定に関連する全ての民間団体や関係機関との連携の充実を図ること
- 新しい規制の枠組みにおける国の規制基準との相互補完関係は重要であり,規制当局とのコミュニケーションを充実すること
- 学協会はステークホルダーとの対話だけでなく,広く国民との情報交換や対話に取り組むこと
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以上